時代の移り変わり巻き込まれざるをえないという、炭鉱町の悲哀と人間ドラマを描いた作品です。
九州出身なので多くの家庭が炭鉱で働いていたことがある人がいるので話は良く聞いたり、小説なのでは読んでいたのですが、私の生まれた時は閉鎖方向だったようで、炭鉱にすむ人達の暮らしについてはよくわかりません。
その点がリアルに描かれていたので、とても興味深かったです。
福岡県の炭坑町に小学生の守(池松壮亮)と共に帰って来た美智代(小雪)は、ある日、悪ガキたちに囲まれた息子を“信さん”と呼ばれる少年(石田卓也)に助けてもらう。親を早くに亡くして、街では厄介者のように扱われている信さんは孤独だったが、事件を機に優しく接してくれる美智代にだけは心を開くようになる--cinema today元ヤクルトのぺタジー二思い出しました(笑)
ぺタジーは25歳年上の友達の母親を好きになって結婚したからアリなのかな。
小雪だし(笑)
とか思っていたんですが、両親が早くに亡くなり親戚の家に預けられていて、おじ、おばから愛情を受けずに育ってきて、友達のお母さんがこんなに優しく気にかけてくれたら、そりゃ好きになるだろうと思いました。
そんな信さんは母親の愛を知らない子供で、淡いは母親を求めるような気持だったのか、と思いました。、
そんな信さんと美智代の恋は、平成の未来人からみたら結構まどろっこしいんだけど、そういう時代だった模様。
父親がいない守にとってはちょっと年上の信さんが父親みたいなところもあって3人はいい関係のように思えました。
子供達が子供の頃は第一部、思春期の頃は第二部、みたいな感じです。
第一部では子供達は貧しいながらも明るく逞しく遊び、炭鉱町は活気があります。
第二部では子供達は思春期を迎え、守はすっかり福岡の男になり恋や別離を経験。
炭鉱は時代の変化によりリストラや労働争議など厳しい時代になります。
そんな時代を背景に描かれる人間模様は、きれいごとだけじゃなくて、昭和の嫌な部分も描いていて、「三丁目~」よりも昭和という時代の作りこみがリアルだと思いました。
炭鉱町っていう舞台設定も、とても興味を持ちました。
人々の思いが届かない感じや時代背景もあり、懐かしさとともに寂寥感を感じました。
そして九州人にとっては特にどこか懐かしい風景や人間関係だったりするように思います。
自分が子供の時にも、同じ年なのにやたら大人な信さんみたいな人がいたし、タバコ屋の婆ちゃんみたいに、よその子でもどこの子でも容赦なく叱りつける婆ちゃんもいました。
そんな懐かしい空気感が心地よくもあり、切なくもあり、なんともいえない気持になりました。
そういうわけで、特に九州出身の方におすすめです!
「信さん 炭坑町のセレナーデ」は辻内智貴の小説「信さん」の映画化作品です。
監督は、「しゃべれどもしゃべれども」「レディ・ジョーカー」の平山秀幸。
福岡や長崎、熊本の炭鉱や下関でロケ地だそうです。
http://entertainment.rakuten.co.jp/movie/special/shinsan/map/
○松原炭住 (田川市伊田)
■『信さん 炭坑町のセレナーデ』DVD&原作小説